もとの合併ニュース特ダネ 2009年7月19日発行

 

村長、臨時会招集を違法拒絶か

公然と自治法無視

自身への不信任、あくまで阻止

 

本埜村の小川村長が、村議会の2議員が出した臨時議会招集請求を無視し臨時議会招集をしないという「違法戦術」を準備していることが分かった。小川村長の側近らが明らかにした。本埜村ではすでに7月7日、岩井義夫議員、吉本幸弘議員の2議員により、村長不信任を審議するための臨時議会の招集請求が出ており、この招集請求により村長には27日までに臨時議会を招集する法的義務があるが(地方自治法101条3項、4項)、小川村長側は、この地方自治法の規定を公然と無視することを検討しているという。専門家によれば、議員の臨時議会招集請求を首長が無視して臨時議会を招集しなかった例は、日本全国で前代未聞。今回、小川村長が真正面から地方自治法を破ることになれば、日本全国で初の、重大な違法状態が生じ、本埜村は「無法地帯」への道を進むことになる。招集請求無視は、日本の憲法・地方自治法が理念としている地方自治制度を破壊することになるため、総務省や千葉県、合併関係者、全国紙、テレビのキー局などは本埜村の情勢に重大な関心を寄せている。

 

積み重なる合併拒否の言動

    小川村長は「合併実現」を公約に掲げて当選し、現在一期目。しかし昨年末以来、私的チラシや本埜村広報で、繰り返し合併反対論を展開した。

    今年6月29日に合併公約の破棄を宣言。7月15日には、印西市・印旛村との第10回合併協議会では、新印西市全体のグランドデザインに当たる「新市基本計画」の採決をボイコットし、合併を拒絶する態度を明確にした。

    小川村長のままでは合併が挫折する、と考えた岩井義夫議員、吉本幸弘議員の2議員は7月7日、村長不信任を審議するための臨時議会招集の請求書を村長に提出した。地方自治法101条3項、4項によれば、議会の招集権限は首長(村長)にあるが、定数の4分の1以上(本埜村の場合は2人以上)の議員が臨時議会の招集請求をした場合は、村長は臨時議会を20日以内に招集しなければならない。しかし、村長側近らの話では、村長側は、地方自治法101条を無視し「臨時議会の招集をしない」という方法で、村長自身に対する不信任・失職を阻止する作戦を立てているという。

 

総務省・県「看過できない事態」

    本埜村長側が違法な臨時議会招集拒絶を検討している、という情報は、すでに総務省や県も把握している。総務省・県の担当者らは「もし、地方自治法101条が無視されて臨時議会が20日以内に招集されない場合は、日本の戦後地方自治の歴史上、前代未聞の事態看過できない」と口をそろえる。

    小川村長側が「招集請求は無視できる」と思っているのはなぜか。「義務規定と努力規定の区別ができていないのではないか」と国・県の専門家は言う。「○○するよう努めなければならない」という努力規定であれば、守らなくても違法にはならない。しかし「○○しなければならない」という条文がある場合は、しなければ即、違法となる。地方自治法101条の臨時議会招集に関する規定は、「○○しなければならない」という語尾の、義務規定である。

    もし村長がこの「違法作戦」を率先し、地方自治法を無視すれば、本埜村役場は住民や業者に対して「法律を守れ」と言うことができなくなる。臨時議会の招集がなければ本埜村は、日本で唯一、違法がまかり通る「無法の村」になり、法治主義の外に位置する「孤立した村」ということになる。

 

地方自治を破壊する暴挙

    小川村長の側近の1人は「臨時議会を招集しなくても罰則規定がない」ことを、地方自治法無視の「根拠」である、と語る。しかし、地方自治法101条(臨時会招集義務)が、強制招集、裁判手続や罰則などを定めていないのは、招集拒絶を認めているのではない。地方自治の精神を尊重し、首長の良識を信頼して「強制招集」の規定を置いていないのである(総務省・千葉県)。

     村長が招集請求を無視することになれば、地方自治法改正論議が起こり、国家制定法の地方自治への介入を呼び込むことになる。つまり、小川村長側が「招集請求無視、臨時議会開催拒否」を検討していること自体が、地方自治の破壊となる。本埜村は今、危険すぎる一歩を踏み出そうとしている

本埜村 合併署名に連帯する会・滝野部会 

発行:山本昂(滝野2丁目) 取材執筆:山本清(元朝日新聞東京本社千葉版デスク)

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